産婦人科でも、不幸なことに医療事故が起こり、母親や赤ちゃんが死亡したり、後遺症が残ってしまうということがあります。

1つの例は、妊娠高血圧症候群(PIH)で入院していた妊婦に関するものです。心不全の可能性のある症状があったものの、循環器科医に診察を依頼することなく、アデホスを投与した結果、赤ちゃんが脳性麻痺になってしまいました。この事例では、約1億9千400万円の賠償金が支払われ和解が成立したそうです。

もう1つは、娩出時の不適切な牽引行為によって、腕神経叢の損傷が起きてしまった事例です。結果として、赤ちゃんに上腕の機能障害が残ってしまい、約2千500万円の賠償金が支払われ和解が成立しました。

別の例では、健康体で生まれ、新生児室でケアされていた生後3日の赤ちゃんに脳性麻痺の後遺症が残ってしまった事例です。看護師がミルクを与えましたが、赤ちゃんが泣きだし、げっぷが出なかったので、看護師は赤ちゃんを横向きに寝かせたまま、その場を離れたそうです。30分ほどして新生児室に戻ると、赤ちゃんはうつぶせになっていて、チアノーゼの症状が出ていました。赤ちゃんは治療を受けましたが低酸素脳症となり、脳性麻痺になってしまいました。この件は、裁判に持ち込まれ、約1億7千万円の賠償金が支払われたとのことです。

このほかにも、妊娠35週の妊婦の病気に気づかず、不適切な薬剤の投与などを行った結果、赤ちゃんが重症新生児仮死の状態で生まれ、そのまま亡くなったという事故も起きています。
産婦人科ではこれらの事例のようなことが起こるかもしれない、と改めて認識しておく必要があるでしょう。